水
洗い物から洗米、仕込みすべて井戸水を使用しています。
以前は非常に鉄分が多く含まれており、釜に張った水が赤茶けてしまうほどだったと聞いていますが、ある出来事を期に井戸に流れ込む水の方向が変わって、鉄分の少ない非常に澄んだ水が湧くようになりました。
酒造りでは大量の水を使いますが、いつも感謝の気持ちをもって扱わせていただいています。酒にとっても人にとっても水は命の源です。
【水質】pH:6.62 硬度:5.43 鉄:0.008
洗米
米洗の前に予め、機械を使って11~13㎏に小分けしておきます。
目標の吸水率を決め、その日の水温を測定し、およその浸漬時間を予測して米を洗い始めます。
金光酒造ではすべての洗米で、水圧気泡洗米機を使います。
予め小分けにしておいたお米を1分間づつ洗い、その後シャワーで掛水をして米の周りを洗い流します。その後速やかにきれいな水に浸漬し、米に水分を吸わせます。十分に吸水したら、予め計算しておいた吸水率になるように余分な水分を吸引します。
適切な洗米と適正な水分を吸わせることが、良いお酒を造ることへの第一歩です。
蒸し
金光酒造では和釜にボイラーで米を蒸します。
釜の中に入れた約60メートルの蛇腹の蛇管の中にボイラー蒸気を吹き込み、釜に張った水を沸かした蒸気で蒸していきます。
蒸し時間は、蒸気が噴き出し始めて約50~60分間です。その間、甑に吹き込む蒸気は約102℃くらいにもなります。蒸しの最後10分間くらいには甑に吹き込む蒸気を再加熱し、約103℃~104℃くらいの蒸気を当てます。こうすることで、サバケの良い蒸しに仕上がります。
製麹
酒造りで最も重要とされるのが麹造りです。
蒸し米を麹室に引き込み、米の温度と水分を見ながら、程よいところで種麹をつけます。ある程度麹菌を繁殖させて、翌朝大きな箱に移します。室温と湿度を管理しながら品温を上昇させ、金光酒造のお酒に適した麹へともっていきます。種麹をつけてから約2日間かけて麹が出来上がります。
平成17年の夏に無節の杉材で麹室を新築して以来、室温や湿度のコントロールが格段に楽になりました。
また、麹の品温データを自宅に居ながらこまめにパソコンでチェックできるようにしています。
仕込み
麹と水を混ぜて水麹を造り、そこに蒸し米を入れて仕込みを行います。
まず、酒母を仕込み酵母を十分に増殖させます。金光酒造ではすべて高温糖化で行い、9日目に使用します。
その後3回に分けて仕込んでいきますが、最初(初添)は物量が少ないので小さなタンクに仕込みます。1日おいて(踊り)2回目(仲添)からは大きなタンクに移し、3回目(留添)を仕込んだ後、25~30日程度かけて発酵させていきます。
上槽
発酵が終わりいよいよ醪をしぼり、酒と粕に分けます。
この作業を上槽といいますが、金光酒造では醪をしぼり機(通称ヤブタ)に入れ空気で圧力を加えることでしぼっていきます。しぼった後は粕を機械から剥がし、酒粕として商品化します。
金光酒造ではしぼり機を冷蔵庫で囲い、まだ気温の高い11月や3月の春めいてきた時期でも気にせずに搾ることができるようにしています。
また、大吟醸やその他一部の醪では酒袋(綿、PP、ナイロン)に醪を入れ、圧力をかけず自然に垂れてくるものだけを斗瓶に採る方法もあります。
濾過・瓶詰
しぼったお酒は0.45µのフィルターで素濾過し、滓など細かいものを取り除いて生のまま(加熱処理をせずに)瓶詰をします。また、限定商品としてしぼったままのものをそのまま瓶詰するお酒もあります。
斗瓶に採ったものは滓を引いて瓶に詰めます。
火当て
瓶詰後、-5℃の冷蔵庫で貯蔵し味の熟成具合をみながら、だいたい3週間くらいで瓶燗します。瓶のまま湯銭して65℃まで品温を上げ、熱処理します。
その後、冷水に浸けて急冷させます。こうすることでお酒の劣化を最小限にし、品質の良い状態でお客様にお届けすることができます。
貯蔵・出荷
生のお酒は-5℃。火当てをしたお酒は3℃~8℃で冷蔵庫で貯蔵管理し、注文をいただいてからラベルを貼って出荷しています。
冬場は生のお酒が順々に出来上がってくるので、生のまま出荷するものもあります。